「天井桟敷の人々」

2017年03月15日 18:43

「天井桟敷の人々」

本日の文芸坐三浦館上映作品は、
マルセル・カルネ監督作品、1945年公開のフランス映画「天井桟敷の人々」であります。

製作期間3年3ヵ月、製作費に16億円を費やしたという超大作で、
その時代からも判るようにフランス映画史上に残る名作と言われています。

ところで、
わたしが演劇科の学生になった1977年(昭和52年)5月、
天井桟敷の人々」の主人公を演じたジャン=ルイ・バローを、
観世能楽堂で行われた銕仙会主催のシンポジウムで観たことがありました。

観世寿夫氏、観世静夫氏、野村万作氏と共に舞台に立たれ実演されたのでした。

ジャン ルイ バロー

正直言って、
当時、バロー氏がなにを話しているのか理解が追いつかなかった覚えがあります。

しかし、シンポジウムが始まる前に、
ジャン=ルイ・バロー観世能楽堂の能舞台に口づけしているのを見た」と、
そのシンポジウムを主催した一人である恩師が話してくれたことがありました。

その話をしたときに、恩師が涙ぐんでいたことだけは憶えています。


そういえば、
わたしは昔、NHKホールの舞台で働いていたことがあるのですが、
或る時、舞台上でなにかの仕込み作業をしているわたし達のところに、
外国人の一団が、舞台の下見にやって来たことがありました。

話している言語は、どうもフランス語のようでしたが、
そのなかの一人が舞台の前面に立って客席を眺めながら、なにか指示していました。

彼が大声で話すフランス語がうるさかったのですが、
わたしは気にも留めず、作業をつづけておりました。

しばらくして、
皆になにか指示していた大声の中年のオッサンがわたしに近寄ってきて、
わたしに話しかけながら握手を求めるので、わたしも握手に応えました。

わたしだけにでなく、わたしの周りにいた他のスタッフにも握手して、
そのオッサンは、一団と共に賑やかに去ってゆきました。

後で判ったことでしたが、
その中年のオッサンは、イヴ・モンタンだったんです。

彼もまた、NHKホールの舞台にキスしていましたよ。
だから、フランス人はみんな舞台にキスするんじゃね?



聴く映画「ザッツ・エンターテインメント!」

2017年03月14日 17:11

「ザッツエンタテインメント」

むぅむぅ(義父)は、
血中酸素濃度98~99%を維持するようになりました。

そこで、
供給酸素量を元の量に戻すことにしました。

今朝、熱も平熱に戻りましたが抗生剤の点滴投与はつづいています。


そこで、
きょうの文芸坐三浦館といたしましては、
観て楽しめなくとも、聴いて楽しめる映画、
ザッツ・エンターテインメント!」を再上映することにいたしました。

これは、先日むぅむぅの誕生日に上映した作品です。
誕生日には、姉が買ってきたケーキにロウソクを立て、
かみさんと3人でハッピィーバースデイを歌って祝いました。

その時むぅむぅは、
レアチーズケーキとリンゴゼリーとチョコプリンを食べたのでした。


さて、「ザッツ・エンターテインメント!」は、
“星の数より多くのスターがいる”と謂われたMGM社の創立50周年を記念して、
1974年に製作されたミュージカル映画のアンソロジーですが、
アメリカ合衆国が創った巨大なエンターテインメントの宝庫であります。

そんな映画を創った国へ、きょうの午後、息子(次男)は戻ってゆきました。



映画「欲望という名の電車」

2017年03月12日 18:55

「欲望という名の電車」

本日の文芸坐三浦館は、
昨日につづいてヴィヴィアン・リー主演の映画を上映したいと思いました。

昨日上映した「風と共に去りぬ」は、約4時間の超大作でありますが、
ヴィヴィアン・リーという女優は、よくあの難しい役を演じきったものだと思います。

そこで、
本日文芸坐三浦館で上映する映画は、
1951年アメリカで公開された「欲望という名の電車」であります。

テネシー・ウィリアムズの同名の戯曲を映画化した作品であります。
もうひとりの主演はマーロン・ブランド、監督はエリア・カザンでした。

ヴィヴィアン・リーが演じた主人公の「ブランチ・デュボア」という女性は、
アメリカ南部の元・大地主だった名家出の未亡人という設定でありますが、
風と共に去りぬ」の主人公「スカーレット・オハラ」のその後をイメージし、
人物を重ねて観た人も多かったのではないでしょうか?

マーロン・ブランドが演じた主人公の兵隊あがりの工場労働者という設定も、
実際に電気工・配管工だったマーロン・ブランド自身と重ねて観ることができます。

それにしても、古今東西の映画が数ある中で、ヴィヴィアン・リーが演じた
スカーレット・オハラ」と「ブランチ・デュボア」の二役は、
演じることが最も困難な主人公だと云えるでしょう。
その意味で、ヴィヴィアン・リーは驚異的な女優であります。

欲望という名の電車




「風と共に去りぬ」

2017年03月11日 18:55

「風と共に去りぬ」

お待たせいたしました。

おかげさまで、
むぅむぅ(義父)の熱も下がりましたので、文芸坐三浦館の上映を再開します。

本日の文芸坐三浦館上映作品は、アメリカでは1939年(昭和14年)に公開の
風と共に去りぬ」であります。ちょっと長い映画です。

原作はマーガレット・ミッチェルの長編小説。
監督はヴィクター・フレミング
主演はヴィヴィアン・リークラーク・ゲーブル
日本で公開されたのは戦後、1952年(昭和27年)になってからでした。
東京の有楽座が先(9月)だったようですが、10月には人世坐でも上映しています。

なにしろ二度と創ることができない大作・名作と謂われた映画ですが、
フルカラーや映画のスケールや俳優の演技を楽しむのもよし、
戦前にこのような作品を作ることができたアメリカの国力に驚くもよし、
奴隷制度があった時代のアメリカ南部の生活と文化と歴史を学ぶもよし、
現代のアメリカや現政権と比較するもよし、

そして、6年前に起こったことを想って
「After all,tomorrow is another day」というセリフをつぶやくもよし、であります。


ところで、
「After all,tomorrow is another day」は、公開当時、
「明日は明日の風が吹く」と訳され、流行語にもなりました。

しかし、
直訳すると、「結局、明日という日は別の日(昨日や今日とは)だ」

そこで、
「(昨日や今日とは違う)明日という日があるわ」という訳はいかがでしょう?

貴方なら、どう訳しますか?





森崎東監督作品「男はつらいよ フーテンの寅」

2017年03月06日 17:59

「男はつらいよ フーテンの寅」

さて、本日文芸坐三浦館上映の映画は「男はつらいよ フーテンの寅」、
男はつらいよシリーズの第3作であります。

ところで、
男はつらいよ フーテンの寅」は、1970年1月に公開された松竹映画ですが、
今作は、山田洋次監督に代わって森崎東監督作品です。

ということで、
きょうは横道に逸れて、少しだけ森崎東監督のおウワサをしたいと思います。

森崎東監督といえば、
男はつらいよ フーテンの寅」(1970年)、「時代屋の女房」(1983年)、
生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」(1985年)、
塀の中の懲りない面々」(1987年)、「釣りバカ日誌スペシャル」(1994年)、
美味しんぼ」(1996年)の監督ですが、「黒木太郎の愛と冒険」という作品もあります。

黒木太郎の愛と冒険」は、
森崎東監督が松竹を退社してから撮った第1作目の作品で、ATGの映画です。

主演は田中邦衛さん、そして、
財津一郎倍賞美津子伴淳三郎清川虹子沖山秀子小沢昭一三國連太郎緑魔子
杉本美樹岡本喜八火野正平殿山泰司井川比佐志・・といった錚々たるキャストですが、
2013年9月に亡くなった、かみさんの従姉も出演しています。
1977年に公開された映画ですから、彼女が24歳のときです。

「黒木太郎の愛と冒険」

さて、
黒木太郎の愛と冒険」という映画は、
タイトルから松竹の喜劇映画のような内容を想像してしまうかもしれませんね。
確かに観ようによっては“喜劇”には違いありません・・・。

しかし、この映画にこめられているのは、戦争への憎悪と、
戦争を総括しない日本人への絶望的な憤怒と呪詛のメッセージであります。

ですから、たぶん興行としては失敗作だったでしょう。

この映画のなかに、元砲兵隊長でたった一人の生き残りの男が登場します。
その男(三國連太郎)は、戦死者の墓の前で割腹して死んでしまいます。
その墓に「遺書」という本が供えられているシーンがあります。

森崎東監督の兄・森崎湊さんは、終戦直後に割腹自殺しました。
その兄上が遺された日記が「遺書」という本になったのでありますが、
その「遺書」という本を出版したのが、亡くなった従姉の父であり、
むぅむぅ(義父)の兄である、伯父の出版社でした。




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