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色なき風

2019年09月18日 23:59

警察署

夏の猛暑や喧噪が終わり、祭りの後といった気配だ。

朝夕、涼しくなってきた。

着替えと少し厚手の物が必要だろうと、安売りの店で一式求めてから電車に乗った。
西に向かう電車の乗客は少なかった。


なんでも、
所轄の警察署の留置場が改装工事中なので、遠い警察署に勾留されているのだと聞いた。

わたしの携帯電話に所轄の刑事から連絡があったのは、日曜日だった。

事件の詳細は言えないというのだったが、関係やつきあいなどを訊かれた。

詳しいことは本人に訊いてくださいというので、勾留されている警察署へ面会に行くことにしたのだ。

面会時間は13時だったが30分前に着いた。
13時になると、2階の留置場の前室に通されて、面会の受け付け用紙に記入。

差し入れに持参したウェアやシャツは、
伸縮性があるので危険防止のため不可、靴下は踝までなら可だが、長くて不可。
渡せたのは、トランクスパンツ2枚と、書籍1冊だけだった。

本人との面会は20分間。
事件の経緯と弁護人の連絡先などを訊く。

アクリル板で隔てられてはいるが、本人の声は力なくかすれて聞こえ辛い。

わたしなどより、
才能もバイタリティーもリソースも人一倍持っていたのに、なぜかアクリル板の向こう側。

いや、わたしだって、たまたまこちら側にいるだけかもしれないと思う。
人として、さほど違いはないのだ。


これから償いが待っている。
まだまだ、長い人生が待っている。

警察署を出ると、冷たい雨が降りだしていた。


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