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「誰がために憲法はある」

2019年05月16日 15:16

「誰がために憲法はある」パンフレット

きょうは、
「ポレポレ東中野」という映画館で「誰がために憲法はある」を観ました。
終映後、井上淳一監督とお話してきました。


以前、わたしが所属していた演劇制作体「地人会」は、
主宰者のプロデューサー兼演出家の木村光一さんの体調不良により、
存続できなくなり2007年10月をもって解散しました。

その地人会の活動として1985年から2007年までつづけられていた、
朗読劇「この子たちの夏」という作品があります。

母親や子供たちの被爆体験の文章を6人の女優等が朗読するという作品で
「地人会」が上演する“本公演”と、各地の有志が上演する“自主上演”とに
活動は分けられていましたが、日本各地で上演されていました。

しかし、演劇制作体「地人会」の解散により、
“本公演”も“自主上演”も上演をつづけることが出来なくなってしまいました。

なぜかと言えば、台本や演出や俳優だけが存在しても、
この作品を“制作”する母体組織が無くなってしまったためです。

演劇制作体「地人会」は、毎年夏に上演する“本公演”にしても、
一年を通して上演されていた“自主上演”にしても、
その公演に関しての全責任と事務処理を担ってきました。

それは、
その文章を書かれた、お一人おひとりの被爆された方々に対する責任でした。

この作品を創り、上演するにあたって演劇制作体「地人会」の主宰者である
木村光一さんを始め、制作メンバーは書かれた方やそのご遺族に連絡をとり、
その文章をお借りするというお約束で作品化していたのです。
いわば、その責任を担うことこそが“制作”の中心であったのです。

そこで、
その朗読劇「この子たちの夏」の制作を引き受けてくれる団体や組織を見つけ、
そこにバトンタッチをしていただくためのお手伝い、いわば運び屋を担おうと思い、
2008年9月の或る日、わたしは木村光一さんのお宅を訪ねたことがあります。

わたしの申し出た主旨を受け止めてくださった上で木村さんはこう言いました。
「この子たちの夏の使命は終わったんだよ。もし地上から核兵器を無くすため
活動をつづけたいのなら、君は君の旗を立てなさい。」

その意味で、
「この子たちの夏」に出演していた女優たちは、新たに「夏の会」という組織を創り
「夏の雲は忘れない」という朗読劇を始めていました。

2010年11月、
わたしは「二重被爆」という映画を観て、監督の稲塚秀孝さんと出逢いました。
そこで、「二重被爆」の舞台化の可能性について、ご相談を受けたのでした。

それがキッカケとなって、
木村光一さんに言われた「君の旗を立てなさい」という課題と、「二重被爆」が重なり、
具体的に“核兵器を一発でも無くすことにつながる演劇づくり”を模索するようになりました。

そして、2011年3月、そのためにアメリカに行く準備をしていたときに東日本大震災が起き、
あの忌まわしい原発事故が起こったのでした。

3月下旬、わたしはニューヨークに居ましたが、
“核兵器を無くすためにはどうしたらよいか”を模索するための旅行が、
“原子力発電所を無くせるのか”を模索する旅に変わってしまいました。

以来、
偏にわたしの才能の無さと怠慢から、“核兵器を一発でも無くすための演劇創り”は
頓挫したままです。

ですから、「この子たちの夏」から「夏の雲は忘れない」まで34年間にわたって、
夏の暑い盛りに日本各地を回って上演をつづけてこられた女優の皆さんや、
「憲法くん」「誰がために憲法はある」を創られた井上淳一監督に敬意を表します。

そして、わたしは後ろめたくて頭が上がりません。

井上淳一さん

ただ、言えることは、
わたしたちが全国各地を回っていた二十数年前は、「核兵器廃絶」を訴えていたのに、
いまは「憲法9条を護れるかどうか」が俎上に乗っていることです。

こうして見てくると、
演劇は、どれほどの役割を担ってきたのだろうという虚しさを禁じえません。

誰がために憲法はあるのでしょう?
誰がために映画はあるのでしょう?
誰のための演劇なのでしょうか?



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