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最も危険な設問

2018年10月30日 15:12

尾畠春夫

被災地で、「困ったもんだ」という声があると聞いたことがあります。

「困ったもんだ」と云っているらしいのは、現地のボランティアセンターを運営しているスタッフの一部。

ボランティアセンターは、
当該の社会福祉協議会に全国の社会福祉協議会等から集まった人たちで
構成され運営されていることが多く、謂わば寄せ集めの組織なのです。

寄せ集めであるからこそ、運営方針や活動内容を話し合って決めながら活動しています。

その内容が、各地から集まってくるボランティアに伝達されます。
ボランティアたちは、その方針と指示に従って活動するのです。

したがって、
その枠から飛び出して活動をされると「困ったもんだ」となるのです。

「困ったもんだ」と謂われているのは、
被災地でスーパーボランティアと呼ばれている尾畠春夫さんです。

ボランティアセンターに依頼された作業以外に個人的にも仕事を請け、
決められた時間以外にも一人で作業をつづけ、山口で2歳児を見つけてからは、
テレビ局を連れて活動したりすることもあって「勝手だ」「和を乱す」というのです。

尾畠さんは、
何事も自己責任・自己完結が口癖で、ご自分の使命感だけで活動されています。

安田純平さん

さて、
シリアで3年4ヶ月間、拘束され虐待されていた安田純平さんに対して、
「失敗したんだろ」「帰ってくるな」「腹を切れ」といった心無い中傷がつづいています。

外務省が邦人に向けて退避勧告を出していたにもかかわらず、
勝手に入国して拘束されたのだからという短絡的な分析を基にしているようです。

被災地にもシリアにも行かず、
自宅の部屋で他人のことをネットで中傷しているだけの輩はどうでもいいのですが、
被災地やシリアに行くかもしれない輩、行ってもよいという覚悟をもった輩にとって、
尾畠春夫さんや安田純平さんは極めて危ない存在だと、わたしは思います。

多分お二人に共通するのは、
生き方を貫いたり使命感を達成するためには“死んでも構わないという覚悟”を持っていることです。

それは、
先の戦争で玉砕したり突撃したりした戦地の兵士たちのメンタリティーと、
わたしのなかでは重なるからです。

生きて虜囚の辱めを受けず」という
「生きること」や「囚われること」、「失敗すること」、「負けること」を“恥”とし、
死を選ぼうとするメンタリティーです。

そのメンタリティーこそが、玉砕や特攻を認めてしまう日本人の危うさです。

わたしは、
特攻できず、腹を切れず、敗けて故郷の橋を渡って帰宅することを躊躇った、
終戦時16歳だった父に育てられました。

ですから、
わたしの人生は、そのメンタリティーとの闘いであり、葛藤だったと言えます。

他人と闘っているのではありません。
自身の内面にも有る、そのメンタリティーとの闘いであり、葛藤なのです。

以前、日本の集団的自衛権について、当時の与党・幹事長が、
「アメリカの若者が血を流しているのに日本の若者が血を流さなくていいのか?」
と発言したことがありますが、わたしは日本人にとって最も危険で厄介な設問だと思っています。

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