「桜の森の満開の下」

2017年08月21日 23:59

歌舞伎座

当時15歳だった少女は、その日の未明空襲に遭った上野駅に、
家族と共に降り立ちました。

東京大空襲に遭った上野駅によく汽車が着けたものですが、
家族は、祖母の葬儀のために秋田に行って帰ってきたのでした。

祖母が亡くならなければ、家族も空襲に遭ったでしょうから、
家族は、祖母に助けられたようなものです。

その上野駅から浅草を通って隅田川を吾妻橋から本所へ渡り、
延々と家に向かって歩いたのだといいます。

汽車を降りてから歩いた東京の街は、あらゆる建物が焼けて、
街中に焼死体が累々と折り重なって倒れ、隅田川には、
水を求めて亡くなった人々が、筏のように浮いていたそうです。


さて、
歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第3部を観ました。

第3部は、
坂口安吾 原作
野田秀樹 作・演出
野田版 「桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)」


原作者の坂口安吾は、
戦争中であっても満開に咲いた上野の森の桜の花の散るなか、
累々と積み重ねられたご遺体が焼かれていく様子を、
桜の森の満開の下」の原風景としたと書いています。

東京大空襲に遭って重ねられて焼かれた人々と、
生き残って、戦後の東京の街を歩いた少女との間に、
どれほどの違いがあったでしょうか?


戦後72年、
そんな少女たちも、次第にいなくなっていく時代です。



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