「午後の遺言状」

2017年02月26日 18:41

「午後の遺言状」

本日の文芸坐三浦館上映の映画は、
昨日につづいて、新藤兼人監督作品「午後の遺言状」であります。

午後の遺言状」は、1995年6月に公開されたフィクション映画ですが、
1995年度公開作品として、日本アカデミー賞、キネマ旬報ベスト・テン他、
各映画賞と映画各賞を受賞しました。

そんな、この映画の最大の魅力は、
公開当時89歳だった日本映画界・演劇界の名女優・杉村春子さんと、
闘病しながら撮影に臨み、公開を待たずして亡くなった乙羽信子さん、
そのお二人の共演でしょう。


むぅむぅ(義父)に、
「この映画のとき杉村さんは89歳、いまのお義父さんと同じ齢ですよ」と云うと、
「そうか!大したもんだね・・」と申しました。


さて、「午後の遺言状」は、
杉村春子さんをモデルにしたような設定のストーリーで、
杉村さんは老齢の大女優といった役どころであります。

その大女優が、山間に在る自分の別荘に避暑にやってきます。
その別荘を長年管理しているのが、乙羽信子さん演じる老女です。

映画のなかで、
大女優がチェーホフの「三人姉妹」のセリフを言う場面がありますが、
さながら、この映画自体がまるでチェーホフのストーリーのようです。

誰も避けることのできないのが“死”でありますが、
この映画の「テーマ」はと云えば、やはり“老いと死”でありましょう。

この映画が公開されたとき、
杉村春子さんは89歳でしたが、その2年後に亡くなられました。
杉村春子さんが亡くなられて、ことしで20年が経つわけです。

乙羽信子さんは公開を待たずに70年の生涯を終えていらっしゃいます。

そして、
公開当時83歳でいらした新藤兼人監督は、いまから5年前に、
満100歳のお誕生日を迎えられてから亡くなりました。


映画のなかで、
大女優(杉村)が、自分が死んだときに棺桶の釘を打つためにと、
河原で拾ってきた石を管理人(乙羽)に託して東京に帰ってゆきます。
その石を管理人が川に捨ててしまうシーンで映画は終わります。

それはまるで、
乙羽信子さんをはじめ、この映画に携わった人々の死ぬ覚悟、
翻ってそれは最期まで生きる覚悟を描いたように爽やかなシーンでした。


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