「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」

2017年02月19日 17:59

「決闘鍵屋の辻」

わたしは、
日本映画界の戦後最大のスターは三船敏郎さんだと思っていますが、
三船敏郎と言えば黒澤明監督作品の常連俳優の一人です。

わたしは、
黒澤明監督作品のなかから、好みの映画を3本挙げろと言われたら、
迷わず「生きる」と「椿三十郎」を挙げるでしょう。

生きる」は、
42年前にわたしが初めて観た黒澤映画ですが、衝撃的でした。

椿三十郎」は、
文句なしにおもしろい、所謂“痛快時代劇”でありますが、
三船敏郎という俳優の魅力が存分に描かれていると思います。

しかし、
3本挙げろと言われたら、残り1本を迷います。

他に、
野良犬」「天国と地獄」「悪い奴ほどよく眠る」といった社会派ドラマ、
七人の侍」「隠し砦の三悪人」「用心棒」といった時代劇、
また小説や戯曲を原作とした「虎の尾を踏む男達」「羅生門」「どん底
蜘蛛巣城」など、これら好みの作品の中から選ぶのは酷なことです。


さて、前置きが長くなりました。

きょうの文芸坐三浦館の上映作品は、
1952年(昭和27年)公開の異色時代劇「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」です。

この作品は、三船敏郎主演で森一生監督作品ですが、脚本が黒澤明
黒澤監督が「七人の侍」をはじめとした時代劇を撮る前の映画ですから、
黒澤監督時代劇のリアリズムの原点になった作品かもしれません。

所謂、「鍵屋の辻の決闘」は、
曾我兄弟の仇討ち」と「赤穂浪士の討ち入り」と並ぶ日本三大仇討ち物語の一つです。

むかしから、歌舞伎や小説や映画で描かれる物語ですが、
決闘時に荒木又右衛門が行ったとされる伝説の36人斬りが有名であります。

その荒木又右衛門を演じているのは、我らが三船敏郎でありますが、
この映画の荒木又右衛門は、二人しか斬りません。それが史実だからです。

黒澤脚本はナレーションでこう云います。

「忠実な記録は、誇張された作り話よりも遥かに迫力がある。
これは、藁人形のような人間を36人斬るのと、ひとかどの人物を2人斬るのと、
どちらが大変なことか考えてみれば直ぐ分かる」


史実通りに、
仇討ちする側の心理を描写し、本当の“斬り合い”を再現しようとした黒澤脚本は、やがて、
七人の侍」の戦闘場面や、「用心棒」や「椿三十郎」の殺陣につながったのでしょう。

黒澤監督作品「椿三十郎」で、40秒で30人を斬る三船敏郎と、
二人しか斬っていないこの映画の三船敏郎と、
どちらが迫力があるか、比べてご覧になるのも一興かと思います。


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