最後に観た平幹二朗さんのお芝居

2016年10月24日 18:22

黄昏にロマンス

忘れもしません。
ちょうど2年前の11月、渡辺美佐子さんのお芝居を観に行きました。

渡辺美佐子さんとは、
地人会の制作者時代に、「化粧 二幕」「この子たちの夏」をはじめ、
数々の作品を担当させていただいて以来のお付き合いであります。

その一ヶ月ほど前、
渡辺美佐子さんの夫・大山勝美さんが亡くなっていました。

大山勝美さんが亡くなられたと聞いたとき、
お参りをさせていただき、美佐子さんをお慰めしたいと考えておりましたが
美佐子さんは、舞台の稽古に専念すると決められていたのでした。

それは、お互いの仕事をリスペクトし合ったご夫婦の生き方であり、
いつも美佐子さんを応援していた大山さんの意思でもあったのだと思います。

お芝居は、
「黄昏にロマンス」というソ連時代の劇作家・アレクセイ・アルブーゾフの作品。

アレクセイ・アルブーゾフは、
イルクーツク物語」「私のかわいそうなマラート」といった作品も遺した劇作家です。

おこがましくも、
ご主人を亡くされた直後の舞台ということで心配しながら拝見したのですが、
美佐子さんらしく、明るくさばさばと演じていらっしゃっる印象でした。

「黄昏にロマンス」という作品は、男女二人だけが登場するお芝居で、
人生の黄昏時を迎えた孤独な男女が、あるサナトリウムで出逢うという物語です。

その美佐子さんのお相手役が、平幹二朗さんでした。

美佐子さんは俳優座養成所3期生で、平さんは俳優座養成所5期生、
俳優座養成所時代からの長いお付き合いですから、息の合ったお芝居でした。


ところで、“黄昏”時というのは、
太陽が没っした直後、西の空が夕焼けに染まった時間帯のことですが、
やがて暮れなずんでいた夕焼け色が失せて空が藍色に染まると、
それを、禍時(まがとき)或いは逢魔時(おうまがとき)と云います。
逢魔時は、字の如く「魔物にでも逢いそうな時間帯」という意味でしょう。

人生には、
陽が昇る頃、昇り詰めた頃、日が傾く頃、暮れかける頃、黄昏時
そして暮れ泥む頃、逢魔時があり、やがて誰の身にも必ず夜が訪れます。


きょうは、平幹二朗さんの訃報に接しました。

わたしが、平幹二朗さんのお芝居を観たのは、
惜しくも、あの「黄昏にロマンス」が最後になってしまったワケです。

美佐子さんは、またしてもパートナーを失ってしまわれました。


平幹二朗さんのご冥福をお祈りします。




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