仏つくって

2016年08月20日 23:59

演劇制作者として、
各県各地で演劇を上演する旅公演を行っていた経験があります。

演劇を上演する劇場は、
上演する作品の性格にもよりますが、5~600席程度の中劇場が理想的でした。

反響が無く、声が届きやすく、身近に観ることができるからです。

しかし、
そのような中劇場は、ほとんど有りません。

公共施設として建てられた劇場は、
フルオーケストラも使用し、邦楽も使用し、式典にも使用して
演劇“も”上演することになる1,500席前後の大劇場がほとんどであります。

まさに、
ほとんどのジャンルにとって帯びに短し襷に長しの劇場です。

そして、
建物を必要以上に豪華にしたり、ロビーを飾りたてたり、
居心地がよすぎて眠気をもよおす高価な座席を設置したり、
それなのに、
道具の搬入口は不便だったり、楽屋が狭かったり、足りなかったり、
舞台の奥行がなかったり、袖に入るとすぐに壁だったり、
音が反響しすぎて舞台の会話が何を言っているのか解らなかったり、
劇場を使う人たちの要望が反映していない劇場が数多くあります。

公共工事を行って、
大規模な予算を消化することが目的だったのではないかと思えるような、
使用者や利用者を無視した、まるで業者や造りたかった人のための建物、
そういった印象を持ちます。


さて、
なんでこんなことを書いているのかと申しますと、
豊洲新市場の問題」を考えてみると、同じような構図が見えるからであります。

先日の都知事選のときには、ほとんど争点にならなかった事でありますが、
新都政にとっては、東京オリンピック以上の問題になると思っておりました。

・深刻な、土壌汚染・水質汚染の問題。

・深刻な、店舗の使用上の問題。

・深刻な、建物構造の強度や配置上の問題。

・深刻な、交通アクセスや物流の効率性の問題。

なかでも、
最も深刻なのは、汚染問題でしょう。

なにしろ、豊洲新市場が開場する区域は、
いまだに「土壌汚染対策法」の「汚染区域」に指定されているのです。

そこで、海産物、生鮮食料品を扱おうというのですから、
怖がるな、不安になるなと言う方が無理でしょう。

大きな予算を消化して、更なる予算も確保して、
利用者や使用者の要望が反映されていない、
消費者にも不安を与えるような施設を、
どうして造ったのか、ダレが造ったのか、ダレが造りたかったのか・・・。

“仏つくって魂入れず”という言葉がありますが、
魂が入っていないどころか、“汚染物質が入った”市場なのでありますよ。

東京オリンピックで海外から来日する人たちにも、
そんな魚を食べていただくのですか?

小池都知事は「立ち止まって考えたい」と述べておられますが、
「出発点まで戻って考える」しかないのではないでしょうか?




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