たつみ

2016年03月26日 23:59

たつみ

雑司が谷には、「たつみ」が在ります。

雑司が谷を語るのでしたら、
「たつみ」という店のことは避けられません。


「たつみ」という店は、入りにくい店です。
外から、店内が見えないからです。

店に入っても、店主は愛想がよくありません。
自分が歓迎されているのかどうか、判りません。
疎まれているのかもしれないと思ったりします。

でも、
もし貴方が、その日口開けのお客だったとしたら、
貴方の顔を見てから音楽をかけてくれます。
それは、クラシックかもしれませんし、ジャズか、
シャンソンかもしれません。滅多に演歌は流れません。

そのうちに、常連客が入ってきます。
中年の客たちが、子供のように我を曝け出します。

時々、議論になることがあります。
急に、意見を求められることもあります。
適当に流して聴いていればよいのです。

食べモノはありますが、なかなか注文できません。
何か召し上がりますかと、訊いてはくれません。
しかし、注文すれば作ってくれます。
但し、遅くても催促してはいけません。


「たつみ」は、
長い年月、雑司が谷を見てきました。
雑司が谷の人たちを見てきました。

こどもが成長するのを見てきました。
人と人の出会いを見てきました。
人と人の別れを見てきました。

「たつみ」は、
きょうから少しのあいだお休みします。


貴方が、こんど「たつみ」の灯りを見かけたら、
勇気をもって、暖簾をくぐってみてください。

きっと、
愛想のわるい店主が、
貴方のために音楽をかけてくれます。


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