或る演劇制作者の死

2016年03月17日 20:31

下哲也氏

到着した列車内にスタッフが残っていないかを確認し、改札では主催者の皆さんが出迎えてくださるので、
重い鞄を背負いながら下りた地方の駅のホームをダッシュして、メンバーの先頭に立って改札を出ます。

主催者に挨拶して、タクシーチケットを受け取り、1台に3名ずつ乗車させて、運転手に行先を告げ、
チケットを渡します。

宿に寄って荷物をフロントに預けることもありますが、すぐに劇場に向かいます。

劇場に到着するとすぐに劇場の事務所に挨拶し、主催者のお手伝いをしてくださる方々に挨拶し、
大型トラックから劇場への搬入を始めます。

楽屋や舞台で足りないものなどを手配したり、スタッフと共に楽屋割り(割り振り)を行ったりします。

搬入が終わりましたら、主催者の代表と開場・開演・終演後のことなどについて打ち合わせ。

午後になる頃、後発で移動して来るキャストを駅に出迎えて、タクシーに乗せて宿に案内します。

宿に着いたら、
あらかじめ部屋割りしておいた鍵を一人ひとりに渡しながら、宿や劇場周辺の案内をしたり、
楽屋入りの時間を伝えます。

開場したら、ロビーでお客様を出迎えして、客席の様子を見ます。
開演したら、楽屋で雑用をこなしたり、翌日の主催者に連絡をしたり、
客席へ行って、観客の様子や舞台の様子を観ます。

終演後は、
楽屋の廊下で帰ってくるキャストやスタッフを待って挨拶し、すぐにバラシ(撤収)を始めます。
また、キャストが楽屋を出るタイミングを計って、タクシーを呼びます。

大型トラックへ荷物を全部積み込んだのと、舞台と楽屋を確認し、主催者と劇場に挨拶して、
スタッフをタクシーに乗せ宿に帰ります。

宿に食事が用意されている場合は、
スタッフが食べ終わるのを待って、それから部屋で制作の事務作業が始まります。

翌朝は、早起きしてメンバーの朝食を摂る様子を観察し、体調などを把握します。

そして、
宿に残っているキャストのことを頼み、スタッフといっしょに次の公演地に向かうというワケです。

これは、旅公演を行っているときの、演劇制作者の平均的な一日の動きです。

しかし、ときには舞台でアクシデントも起こりますし、メンバーが体調不良になったり、
怪我をすることだって珍しくはありませんし、モメ事だって起こります。


芝居を創っている期間には、資料を集めたり、営業したり、オルグに行ったり、
劇作家を励ましたり、企業などに後援を依頼したり、協賛や協力を仰いだり、
商品や衣装の提供をお願いに行ったり、お茶菓子を買いに走ったりします。

公演が終わったら、お礼状を書いたり、記録をや資料を整理して残したり、ときには、
お詫びの手紙を出したりもします。

そして、次の公演に向けての準備が始まるというワケです。

制作担当者は、なんでも屋です。
いい芝居を創ってもらうためには、観てもらうためには、なんでもやります。


むかし、芝居を観に行くと、
受付やロビーで煙草を吸いながら、お客と歓談している制作者を見かけたことがありましたが、
それが出来る制作者は、大物です。

なぜかと云えば、全ての仕事を治めてはじめてそれが可能になるからです。


さて、20年以上むかしから知り合いの制作者仲間が、3月13日に亡くなったと、
わたしの後輩でもある、或る劇団の女優が知らせてくれました。

自宅で倒れていたところを、心配して訪れた劇団の仲間に発見され、
薬石効なし手当の甲斐なく亡くなったということでした。

しかし、わたしは2月5日に彼と偶然会っています。

或る催しの会場に、主催者に用事があって伺ったときに、
彼は、次に担当する芝居の宣伝をしに主催者を訪ねていたのでした。

そのすぐあと、
SNSで「アベ政治を許さない!」、「戦争NO!憲法を守れ」というプラカードを
彼が仲間と一緒に掲げている写真を見ました。

相変わらず、なんでもやるんだなぁ・・と思いました。


Sさん、おつかれさまでした。
ゆっくり、休んでください。



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