一つ星ラーメン

2016年02月07日 19:35

K軒

昨今、
ラーメン屋が大繁盛だそうで、まだまだブームがつづいているようです。

去年は、
ミシュラン・ガイドで一つ星を獲得したラーメン屋の前に行列ができ、
近所迷惑になるからと、一時店を開けられない状態がつづきました。

そのラーメン屋は、大手コンビニチェーンとのコラボ商品の企画や、
ラジオやテレビへの出演依頼などがつづき、
マカオやシンガポールといった海外のプロジェクトの話や、
海外の投資会社からの業務提携の誘いもあるのだそうです。

いまやラーメンといえば、日本を代表する料理であり文化でしょう。
お値段もそこそこいたしまして、一杯800円・900円は当たり前、
千円以上するラーメンとて珍しくはありません。

うちの次男もロサンゼルス郊外でラーメン屋をやっていますが、
たかがラーメン、されどラーメンといったところでしょうか?

光生軒

ところで、
我が母校の門前に、50年以上営業をつづけたラーメン屋が在りました。

30年前にオジサンが亡くなり、オバサン独りで営業をつづけていましたが、
一昨年の8月で廃業しました。

オジサンが生きているときは出前をやっていましたが、
オジサンがのんびりマイペースで運ぶので、ラーメンはいつも伸びていました。

オバサンが独りになってからは出前をやめました。

常連客は、
学校の歴代の学長から教員や職員たち、
音楽科や演劇科の学生や卒業生たち、
そして、世界的に有名な音楽家たちでしたが、
そのラーメン屋のオバサンは、一目置かれる存在でした。

一目といえば、そのラーメン屋の五目ソバと五目焼ソバは500円。
ラーメンに至っては350円でした。

光生軒の献立

お昼の混雑時、お客はセルフサービスでコップに水を汲み、
出来上がった料理は、お互いに融通し合って渡し、
食べたあとの食器はカウンターに自ら戻して帰ってゆきました。

席が空いていても、4・5人のお客が一度期に入ってくると、
「うちの店は、団体さまお断りなんですよ」と云って断るのでした。

混雑時には餃子は遠慮しましたし、ビールも頼みづらい雰囲気でした。

「それならば」と、皆さんだって思われるでしょう。
「バイトかパートを雇えばいいのに・・・。」

でもね、それをしなかったから、オバサン独りでつづけられたのだと思います。
確かに、バイトやパートの人がいれば、満席の店内も捌けるかもしれません。
ラーメンだって餃子だってビールだってもっと売れたでしょう。

しかし、
そうして売り上げは伸びても、料理のクオリティーはどうだったでしょうか?
人を雇えば人件費がかかります。その分を値段に反映させなくてはなりません。

入店を断られたお客が、以後来店しなかったという機会損失もあったでしょう。

それでも、そのやり方だったからこそ、
コアな常連客にクオリティーを保った350円のラーメンが提供できていたのです。

「350円でも、それなりに儲かっていたから、つづけられたんだと思うよ」
オバサンは、いまになってわたしにそう云います。

というワケで、わたしにとっての一つ星は、350円の光生軒のラーメンです。

世界中で活躍している音楽家たちが、帰国したらまず食べたくなると言う、
“ 世界が認めた ” 一つ星ラーメン。 ・・・でした。

光生軒のラーメン
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