硫黄島からのたより

2015年12月16日 16:13

硫黄島

ことしも、あと半月で終わりますが、わたしは、まだ忘年会をやっていません。


さて、6年前の2009年のことでしたが、
2001年から、わたしが代表を務めていた異業種交流会の忘年会を、
新宿のお店で催したのが、12月16日でした。

その異業種交流会は、“誰でも講師”というコンセプトで、
身近にある職業ではあるけれど、ちゃんと話を聴いたことのない
市井の様々な人を講師に頼んで、お仕事の話や体験談を聴くという、
月に一度催していた会でした。

それは、或る意味、
“特別な講師”を頼んで聴く講和より面白く、
興味深い話の多い講演会になったものでしたし、
なにより、肩の凝らないアットホームで気軽な集まりでした。

その日の忘年会も、
交流会の常連参加者たちとそのご家族など合わせて
十数人の気の置けない仲間の集まりでしたが、
その中に、会費だけ払って帰っていった友人がいました。

その忘年会が初参加で、それが最後の参加となったTクンです。

Tクンは、硫黄島で働いていました。
と云っても、自衛隊員ではありません。

Tクンは、自衛隊の下請けをする民間企業に勤めていましたが、
その派遣先が硫黄島だったのです。

2・3ヶ月に一度の割合で1週間ほどの休暇があると云っていましたが、
そのときの休暇は北海道で過ごし、硫黄島に戻る前に会いたいというので、
交流会の忘年会に参加してくれるという話でした。

ところが、
用事ができたから、早々に厚木基地に戻らなければならなくなったと云って、
わざわざ手土産を持参して、会費を払うためだけに顔を出してくれたのでした。

「北海道から硫黄島へ戻る通り道だったからさ」そう云って、
わたしに、会費と土産を無理やり渡して帰ってゆきました。

FTN忘年会 017

そのときに貰った手土産が「硫黄島からのたより」というクッキーでした。
映画化された「硫黄島からの手紙」をパロディー化した商品名で、
硫黄島限定販売と書いてありました。

基本的には自衛隊とアメリカ軍の海兵隊だけが駐屯する島で、
なぜ土産物を売っているのか?

誰が買ってゆくのか?

なぜクッキーなのか?

他にも、土産物はあるのか?

頭の中で様々な疑問がわき起こるなか、
新宿の雑踏に消えてゆくTクンの背中を見送りました。

あのとき、
もし、Tクンが忘年会に参加して硫黄島のことを話してくれたとしたら、
どんなにか、他の参加者にとって興味深い話が聴けたことかと思います。

その翌々年の2011年9月、Tクンは病で亡くなりました。

異業種交流会も、
東日本大震災後、半年ほどは月に一度開催していましたが、
Tクンが亡くなった月から休会したままです。


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