遮断機が下りた踏切

2015年11月26日 17:08

原節子
パブリック・ドメイン アップロード者: WTCA

原節子さんが、
ことし9月5日に亡くなっていたという報道がありました。
6月17日にお誕生日を迎えて、95歳でいらしたそうです。

不謹慎かもしれませんが、
原節子さんのご逝去の報には、特別悲しさが伴いません。
やはり、半世紀以上前に引退されていて、
ご本人に馴染みがないからでしょうか?

しかし、様々な感慨をもちます。

昭和という時代が、遠ざかってゆくなぁ・・・。

小津安二郎監督と、あちらでお逢いになるだろうなぁ・・・。

家族のかたちも描き方も変わってしまったなぁ・・・。


原節子さんが出演された、
所謂、“紀子三部作”と謂われる映画が3本あります。

晩春」、「麦秋」、「東京物語」という3本です。

原節子さんが、いずれも「紀子」という役名で登場し、
娘役や嫁役を演じていらっしゃる映画です。

いずれも、小津安二郎監督作品です。


ところで、季節でいえば、
「晩春」というのは、5月頃の時候を指すようです。
「麦秋」というのは、麦が実る候という意味で、
秋という字を使っても、初夏を指すのだそうです。

しかし、
紀子三部作”を観ると、どの作品の季節も、
秋を描いているように感じます。

象徴的な場面で、
“リンゴ”や、“いわし雲”が描かれているからです。

秋は、実りの秋と謂われますが、
葉が枯れて落ちる季節でもあります。

かつては、
芽吹いて新緑をつけた季節があり、
盛夏には葉が青々として実を育み、
そして、その役目を終える季節を迎える・・。

かつては賑わった家族の団らんも、
やがてかたちを変えるときがくる。

映画「麦秋」のなかで、
踏切を渡ろうとした父親が、遮断機に遮られ路傍に腰を下ろす場面がありますが、
そのときの父親の状況を描いた、切なくて怖い場面でした。

そういった意味で、
紀子三部作”は、いずれも切なくて怖い映画だと、わたしは思います。

原節子さんが小津安二郎監督作品に出演したのは、
1961年公開の映画「小早川家の秋」が最後でした。

そのタイトルにも“秋”の文字が入っていますが、
原節子さんが演じた未亡人の役名は、“秋子”でした。

小津安二郎監督は、翌年「秋刀魚の味」を撮って、
その翌年の1963年に亡くなりました。

原節子さんは、
もしかしたら“その後の紀子”をイメージされるのを嫌って、
引退なさったのかもしれません。

原節子さんの訃報は、秋が似合います。
合掌




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