じっと手を見る

2013年09月12日 18:34

手

「黒土に 這いつくばりたし 夏の風」

わたしが28歳のときに、23歳で自ら夭逝した後輩が遺した句です。


手の爪のなかに入った土を落とそうとするのは厄介です。
ブラシや束子を使っても、根気が要ります。

だいたい、身体で働いている者の手が汚れるのは必然的ですし、
働いている者の手は、掌が厚く、指は太く、武骨で汚いものです。

それなのに、農民であったわたしの父の手は、いつもきれいでした。
その影響なのか、わたしは手の汚れに神経質かもしれません。


さて、
前出の句が、どのような状況で、なにを詠んだのか判らないのですが、
彼の人生の葛藤を、一句で表しているような気がしたので、憶えました。

黒土は、何処の黒土でしょう?

畑の土でしょうか?
山の土でしょうか?

炎天下の土でしょうか?
それとも、穴のなかや木陰の冷たい土でしょうか?

なぜ、這いつくばりたかったのでしょう?

土の上に這いつくばりたいというのは、
或る意味で、性的な倒錯かもしれません。
そうなのでしょうか?

それとも、炎天下で土を耕した汗を、
土の上に這いつくばって冷ましたいということなのか?

土に這いつくばって、
虫のように生きてみたいという願望なのか?

いまだに、答えが解りません。
いずれ、訊いてみようと思っています。


節くれがなくなった指。きれいに整った爪。
掌の皮が薄くなってしまった我が手を見ながら、彼の句を想い出しました。

・・・じっと手を見る



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