特攻と自爆テロ

2017年08月04日 18:00

特攻と自爆テロ

「特攻ってのは、自爆だからね。いまのイスラム過激派の自爆テロとおんなじさ」

毎日観ているドラマ「やすらぎの郷」の主人公・菊村(石坂浩二)が、
やすらぎの郷のなかに在るバー「カサブランカ」で、
元女優の水谷マヤ(加賀まりこ)を相手に語る、戦時中の話をしているときのセリフです。

このセリフを聴いたとき、わたしは正直言って拒否反応を起こしました。
もしかしたら、世間でこのセリフを問題視する向きがあるかもしれません。

でも、
まず、押さえておかなくてはならないのは、このドラマはフィクションだということ。
そして、劇中の人物を描くためのセリフなのであって、このドラマの脚本家である
倉本聰さんのお考えと、セリフが同一かどうかは、また別物であるということです。

ただ、
“特攻”と、“イスラム過激派の自爆テロ”が同じだという捉え方は、
或る意味では、正しいでしょうし、また或る意味では違っているでしょう。

但し、
「特攻とイスラム過激派の自爆テロとはおなじ」という一言だけをもって、
けしからんということにするのは、早計に過ぎると思いますよ。

脚本家が、
このセリフをどんな思いで書いたのか、どれだけ逡巡しながら書いたのか、
それは、その脚本家のすべての仕事から判断するしかないほど、
その人の本質を表しているでしょうから、慎重に捉えるべきと思います。

そのへんが、“100”とか“ゼロ”とは違うところでしょう。


さて、この脚本家のこのセリフは、
努々、白か黒か、右か左か、改憲賛成派か反対派か、
などといった次元で捉えるべきではないと思っています。

それでも、
特攻隊について、少しでも知見を得たことがある人なら、
拒否反応を起こすこともまた、自然なことではないでしょうか?

むかし、女優の渡辺美佐子さんと、
鹿児島の知覧に在る「知覧特攻平和会館」に行ったことがあります。

美佐子さんは、
その2年ほど前に、特攻隊員を描いた「月光の夏」という映画に出演しており、
旅公演の合間に是非、知覧に行ってみたいとおっしゃって同行したのでした。

その知覧特攻平和記念館を見学したときの経験は、
本で読んだり、父から話を聴いたり、映画やテレビを観たりして、
わたしが人生のなかで僅かながら得た知識を、すべて統合してくれるものでした。

ただ、とてもここに簡単に書けるような内容ではありません。

その経験をもって、冒頭の「やすらぎの郷」のセリフを聴きますと、
やはり違和感といいますか、拒絶したい衝動に襲われます。

しかし、
“特攻”と“自爆テロ”との差異を明確に表すことができないのも事実であって、
その葛藤こそ、現代の日本人にとっても必要な自問なのではないでしょうか?



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