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おどろおどろしい

2015年05月02日 23:59

とにかく、おもしろい芝居を創ろうとしたのでしょう。

イヤ、今月の明治座「五月花形歌舞伎」ですが、
なかでも、夜の部の通し狂言「鯉つかみ」のことであります。

解説による、通し狂言「鯉つかみ(こいつかみ)」のすじがきです。

近江国の三上山で、大百足退治の勅命を受けた俵藤太秀郷が大百足と闘っています。
そこへ琵琶湖の守り神・瀬織津媛が現れ、藤太の宝剣・龍神丸を授けます。
藤太は宝剣の力で見事に大百足を退治することができました。
他方、琵琶湖の水中では、鯉王の皇子金鯉が龍に変じることになりました。
その門出を祝っているところに、藤太に退治された百足の毒血が流れ込んでしまいます。
金鯉の身が汚れ、登龍の望みは絶たれてしまいました。
これを恨んで、鯉王は末代まで俵家を祟ると誓うのでした。

時は移り、俵家を祖先とする釣家は龍神丸を家宝としていました。
しかし、家臣の御家横領の企みを知った奴瀬田平は陰謀を阻止すべく奮闘します。

一方、
釣家の息女小桜姫は、清水寺で滝窓志賀之助と出会い、恋煩いしてしまいます。
折しも、二人が密会するところへ、関白中納言橘広継の使者が来訪し、
献上するために家老が龍神丸を抜くと、奥座敷に鯉の影が浮かび上がります。
実は、姫と密会している志賀之助は、鯉の精の化身だったのです。
そこへ本物の志賀之助が現れて…、といった物語。

主人公が水中で鯉の精と戦う鯉退治の場面を描いたこの作品は、
愛之助さんの6役早替りをはじめ、宙乗り、本水での立廻り、泳ぎ六方など、
水しぶきを飛ばしながらの、ケレン味あふれるスペクタクルな舞台ですが、
夏狂言の中でも人気の高い作品なのだそうです。

ところで、
この「鯉つかみ」という作品の内容ですが、
ほとんど内容とか哲学などというものは、垣間見えません。

内容の濃さや人間味や哲学といったものがお好きな方は、
明治座「五月花形歌舞伎」のほかのお芝居をご覧ください。

鯉つかみ」は、ひたすら観客の皆様を引きつけて
楽しんでいただこうという趣向のお芝居であります。

息子である金の鯉が、龍に変化することができる門出を、
大百足の血で汚されたとして、大百足を退治した主人公を、
末代まで祟ってやると云う鯉のオヤジ。

清水寺でチンピラにからまれているところを助けてもらったことから、
助けてくれた主人公(こちらも主人公だが鯉の化身)に恋煩いしてしまい、
鯉と恋に堕ちてしまうお姫ちゃん。

なぜか、その鯉と水中で闘うことになった主人公。

リアルな物語として考えると、鯉と恋仲になった姫など、
おどろおどろしいものですが、歌舞伎で美しく描くと、
それなりの悲恋物語に見えるから不思議であります。

むかしから人々は、
非現実的で荒唐無稽な物語にカタルシスを感じることで、
現実逃避をしたり、溜飲を下げたりしていたのかもしれません。

しかし、
現代では、現実の方が、おどろおどろしておりますが・・・。

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