朝から、勘三郎さんの告別式の様子が報道されていました。
きょうわたしは、大掃除の残りを片づけました。
勘三郎さんのご遺骨は、午前9時に小日向のご自宅を出て、
浅草の
平成中村座の跡地に向かわれ、待ちうけた大勢の浅草っ子とお神輿に迎えられました。
浅草おかみさん会の面々もいます。
仲見世の人たちもいます。
我が家の“水族館”も大掃除です。
魚を出して、水を換えます。
水槽を洗って、細かい石も洗います。
勘三郎さんは、来年4月に開場する歌舞伎座に到着しています。
なんでも、棺の中には、新しい歌舞伎座の檜舞台の部材が入れられたのだとか。
次に、クリスマスイブに灯したベランダのクリスマス・ツリーの電飾をはずしました。
ベランダに置いた植裁も手入れしました。
からまったフェンスの蔓を剪定します。
ベランダに水を撒いてデッキブラシをかけます。
息子Kがやってきました。
我が家で着替えて、勘三郎さんの告別式に向かいました。
玄関口に、鳶のかしらが門松を飾ってくれました。
わたしは、玄関を掃除してドアを拭いて、ドアの外に正月飾りをかけました。
築地本願寺には、朝早くから弔問に訪れた人々が列をなしています。
あの広い境内に人がたくさん集まっています。
築地本願寺に到着した勘三郎さんのご遺骨を前にして、
泣き崩れる
中村小山三さんの姿が映し出されています。
歌舞伎界をはじめ、芸能界、スポーツ界、多くの著名な方たちが訪れました。
12時、告別式が始まりました。
わたしは、手を洗い、お昼をいただきました。
炊いたごはんに、レトルトのカレーをかけたものです。
カレーは、中村屋・・・。
弔辞が始まりました。
坂田藤十郎さんは、
貴方がお育てになったお二人のご子息が立派に成長して、
貴方の芸と心を、貴方の情熱を受け継いでおられます。
貴方が、教え育った中村屋一門はご子息を守り立ててくれるでしょう。
どうか、どうか、安らかにお眠りください。
日本俳優協会一同の心を込めて、謹んで哀悼の意を捧げますとともに、
ご冥福をお祈り申し上げます。
片岡仁左衛門さんは、
僕は自分が死んだ時には、哲ちゃんに弔辞を言ってもらおうと決めていました。
まあ、僕もすぐに…、すぐかは分かりませんが、行きますから、
そのときには、僕をよく導いてください。お願いします。
本日11時の時点で一般焼香の方が2000人も並んでいるという話を聞きました。
本当にノリはすごいです。僕は負けました。では、待っていてください。
大晦日に投函しようと思っている挨拶状の宛名書きのつづきを始めました。
弔辞は、もはや芸の域です。
坂東三津五郎さんは、
君がいてくれたおかげで、この56年間、本当に楽しかった。ありがとうね、哲明。
君は交友関係も広く、活動の場も広かったから、
さまざまな人の心に、さまざまな思いを残したと思うけど、
僕は50年間一緒に芸を勉強し続けた友人として、不屈の信念で体に宿った魂。
人の何倍もの努力によって培った芸のすごみで、
誰にもマネのできぬ芸の境地に立った歌舞伎役者だったことを、伝え続けたいと思います。
これで、しばらくは一緒にやれなくなったけれど、僕がそちらに行ったら、
また、一緒に踊ってください。そのときのために、また、稽古しておきます。
大竹しのぶさんは、
私達だけでなく、先生方も一緒でした。
「こんなすごい人はいません。僕達が教えられます。
だから、この人のために何とかしたいと思うのです。
本当になんとかしたいと思うのです」
と、涙を浮かべておっしゃったことがありました。
これは先生の言葉です。
「やんごとなき心臓を持ち、やんごとなき精神力を持ち、恐るべし中村勘三郎」
でも、それはあなたが生きていたいと思ったからですよね。
生きて行かなければならない人だからですよね。
あなたと、なぜ、いまこの別れをしなければならないのか、
当分私たちはこの答えを見つけることができないと思います。
天日坊を観た時、
「あいつら良かったでしょう?まだまだだけど、俺のスピリッツは受け継いでくれたかな」
と言っていた6月。
そう、あなたの魂を受け継いだ勘九郎がいます。七之助がいます。
七緒八くんがいます。その答えを、彼らが出してくれる日まで私たちは頑張っていきます。
前よりも、もっともっと大きな力を持った哲明さん。
この三人を、そして愛ちゃんを見守ってください。
そして何よりも、あなたの愛してやまない好江ちゃんにも力を貸してあげてください。
ノリさん…、大好きですよ。いまも、これからも。ありがとう。またね。
宛名書きは、なかなか捗りません。
野田秀樹さんは、
見てごらん。列をなし、君を見に来てくれている人たちを。
君の中には、芝居の真髄というものがぎっしりと詰まっていた。
それが、君の死とともにすべて、跡形もなく消え去る。それが、悔しい…。
君のような者は残るだろうが、それは君ではない。
誰も、君のようには二度とやれない。君ほど愛された役者を僕は知らない。
誰もが舞台上の君を好きだった。そして、舞台上から降りてきた君を好きだった。
こめかみに血管を浮かび上がらせ憤る君の姿さえ誰もが大好きだった。
そして、君はせっかちだった。
エレベーターが降りてくるのも待てなくて、
エレベーターの扉を両手でこじ開けようとした姿を僕は目撃したことがある。
勘三郎、そんなことをしてもエレベーターは開かないんだよ。
待ちきれずエレベーターをこじ開けるように、君はこの世を去っていく。
お前に安らかになんか眠ってほしくない。
まだ、この世をウロウロしていてくれ。化けて出てきてくれ。
そして、ばったり俺を驚かせてくれ。
君の死は、そんな理不尽な願いを抱かせる。君の死は、僕を子供に戻してしまう。
ご焼香を終えて、本堂の外に出てきた、
笑三郎さんと
春猿さんと、息子Kが映りました。
三人は、その足で大阪・松竹座公演のお稽古に向かいました。
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