「野の花ものがたり」

2017年02月06日 18:59

野の花ものがたり

つよしちゃん(ふたくちつよし)が、ホスピスの芝居を書きました。

劇団民藝公演 「野の花ものがたり」


わたしが、つよしちゃんと初めて遇ったのは、
いまからちょうど40年前のことでした。

確か、
母校・演劇科の自称「サロン」と呼ばれていた喫煙所だったと思います。

所謂、ヒッピーのような風貌で、
髪は縮れて肩まで伸びていましたし、アーミージャケットを着ていました。
そしてなにより、サングラスをとると眉毛が無かったのでした。

聞けば、
5期の先輩で、ニューヨークから帰ってきたばかりだということでした。

そのビジュアルから先入観を持ってしまった後輩も多かったのですが、
話してみると、意外な“オネエ言葉”(つよしちゃんはオネエじゃありません)。

演劇科の八ヶ岳合宿にも現れたので、すっかり仲良くしてもらいました。

以来、
つよしちゃんに演出してもらったり、つよしちゃんの芝居の演出助手をしたり、
つよしちゃんの芝居は、すべて観ることにしています。

つよしちゃんは、
新潟の六日町に、“やまざと”という古民家を持っていて、そこで戯曲を書きますが、
やまざとにはなんども遊びに行きました。息子を連れて行ったこともありました。

そういえば、
むかし、つよしちゃんとアメ横のお店でアルバイトをしていたこともありました。

そのバイト先には、つよしちゃんの後輩で、わたしの先輩でもあった、
タケちゃんや宮ちゃんもアルバイトをしていました。

そのタケちゃんが病気になったとき、
タケちゃんの中学・高校の友達とつよしちゃんやわたしたち夫婦で看病をしました。

しかし、タケちゃんは看病の甲斐もなく亡くなりました。
そのときいっしょに看病をしていたタケちゃんの中高の友達の、
オサムちゃんもヨッシーも既に亡くなってしまいました。

つよしちゃんと、
集中治療室に入っている宮ちゃんを見舞ったこともありましたが、
宮ちゃんも逝っちゃいました。

つよしちゃんとは、いっしょに何度もなんども泣きました。


そのつよしちゃんが、ホスピスの芝居を書いたので、
きょう観に行ってきました。


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博多座「二月花形歌舞伎」

2017年01月30日 17:59

2017年博多座「二月花形歌舞伎」

息子は、
2月3日に初日を迎える、
福岡・博多座「二月花形歌舞伎」公演に向かいました。

博多座「二月花形歌舞伎」公演

昼の部は、
男の花道」と、新作舞踊「艶姿澤瀉祭」の二本立て。

夜の部は、
雪之丞変化


男の花道」は、
1941年(昭和16年)に公開され大ヒットした長谷川一夫主演の同名映画
小國英雄脚本、マキノ雅弘監督)を舞台化した作品であります。

江戸時代の人気女方加賀谷歌右衛門と、医師・土生玄碩の友情の物語です。

雪之丞変化」は、
主人公は、人気女方の中村雪之丞。
幼い頃、長崎奉行と悪徳商人の画策で父は濡れ衣を着せられて自害、
その復讐を誓う雪之丞の妖しく美しい冒険活劇が、スリリングに描かれます。

男の花道」も、「雪之丞変化」も、
長谷川一夫主演で映画化され舞台化された、
戦前戦後を通して大衆の絶大な支持を集めた名作です。

市川猿之助さんが、
今回、どちらの作品の主人公でもある“人気女方”を演じ、
客演される平岳大さんが、そのお相手を勤められます。

息子は、
今朝、むぅむぅ(義父)の部屋を訪れ、むぅむぅの足を念入りにマッサージしてから、
「じゃあ、行ってきます。また帰ってきたらね」と挨拶して、出掛けてゆきました。


「沼津」

2017年01月17日 18:33

「沼津」観劇

ことしの初歌舞伎は、
1月3日に、初日の新橋演舞場公演を観ましたが、
きょうは、ことし初の歌舞伎座公演の観劇であります。

歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」の昼の部を拝見しました。

昼の部の最後は、
『伊賀越道中双六(沼津)』

呉服屋十兵衛に、中村吉右衛門
お米、中村雀右衛門
荷持安兵衛、中村吉之丞
池添孫八に、中村又五郎
そして、雲助平作が中村歌六という配役です。

伊賀越道中双六』は、
曽我兄弟の敵討ち」や、「赤穂浪士の討ち入り」と並ぶ日本三大仇討ちの一つ
伊賀上野の仇討ち」に題材を採っている物語です。

伊賀越道中双六』という作品は、
今回上演されている「沼津」が有名で、度々上演されるようですが、
3年前の2014年12月、国立劇場で『伊賀越道中双六』の「岡崎」が上演されました。
これは、戦後2度しか上演されていない44年ぶりの上演で、大きな注目を集めました。

中村歌六さんは、
その『伊賀越道中双六(岡崎)』の山田幸兵衛役で、
2015年の第22回読売演劇大賞優秀男優賞、2015年の第65回芸術選奨文部科学大臣賞
そして、2016年の日本芸術院賞を受賞されました。
「芸力充実の最高級の芸を見せたことが受賞理由」とされています。

その受賞を、
いつも応援していた、かみさんの亡くなった母や、いま病床にあるむぅむぅ(父)、
そして、他の誰よりも支えていらした歌六さんの亡くなられた母上が喜んでいることでしょう。

その中村歌六さんの十八番と呼んでもよい
『伊賀越道中双六(沼津)』の雲助平作という軽妙に演じられるお役や、
中村吉右衛門丈との呼吸もピタッと合ったところは、今月26日が千穐楽です。

「人間万事 芭蕉葉の 露よりもろい 人の命」・・・この芝居のセリフです。

2017年 「壽初春大歌舞伎」


涎くり

2016年12月15日 16:54

2016年十二月大歌舞伎

今月の歌舞伎座興行は三部制であります。

息子は、第二部「寺子屋」と、第三部の「京鹿娘五人道成寺」に出ていますが、
寺子屋」では、“涎くり”というお役を演じております。

この「寺子屋」という場面のある「菅原伝授手習鑑」は、
菅原道真が、藤原氏の陰謀に遭い虚偽の訴えで左遷された事件などを基に、
道明寺」、「車引」、「賀の祝」、そして、今回上演中の「寺子屋」といった、
各場面を合わせたら、とても長い物語(通し狂言)なのでありますが、
江戸時代以来、何度も上演が重ねられてきた人気狂言で、
仮名手本忠臣蔵』、『義経千本桜』と並び、「義太夫狂言」の三大名作の一つです。

その「寺子屋」という場面は、
主の子を救うために自らの子の首を同志に刎ねさせて、
身代わりとしてその首を敵に差し出させるという夫婦が登場する、
なんとも残酷で切ない物語であります。

さて、
今回むすこが演じております“涎くり”というのは、
涎(よだれ)を垂らすような小さな子供を、あえて大人の俳優が演じることで、
その滑稽さを協調する効果を狙ったお役で、俳優として“おいしい”ことから、
“御馳走”と呼ばれているお役なのだそうです。

主の子を守るために、家臣が敵を謀って自分の子の首を差し出すという、
なんとも現代では受け容れ難い残酷な物語なのでありますが、その中で、
涎くり”の場面は、物語の残酷さを際立たせつつ救いを与えてくれるお役です。

ホントかウソか判りませんが、
名優の一人と謳われた十七代目中村勘三郎丈が“涎くり”を勤めて評判をとったときに、
女の子が生まれたので、その子の名前を“久里子”と名付けたという話です。

さて、
或る演劇評論家が、今回の「寺子屋」の劇評をこと細かく長文で書いてくださいました。
その中で、“涎くり”について触れてくださいました。

弘太郎の涎くりがリアルでうまく、「寺子屋」幕開きの芝居のトーンをつくった。
リアルでいて芝居のツボにはまっている。大手柄。


この二行弱の劇評で、
わたしたちがどれだけ嬉しかったことか、どれだけ救われたことか。
有り難いことです。


アチャラカ芝居

2016年12月07日 23:59

エノケソ一代記

きょうは、
かみさんと、先輩・浅野和之の舞台復帰第一作「エノケソ一代記」を観てきました。

父親の子守歌だったという、
エノケンの歌を、懐かしい懐かしいと云いながら聴いていたかみさんでした。


ところで、
わたしが子供だったころ、日曜日のお昼に「スチャラカ社員」というテレビ番組がありました。
中田ダイマル・ラケット横山エンタツミヤコ蝶々長門勇藤田まこと白木みのる
といった、喜劇好きにはよだれが出そうになるキャスティングでした。

この番組で人気者になった、
藤田まこと白木みのるコンビが、あの「てなもんや三度笠」の主演につながりました。

ところで、
スチャラカ社員」の「スチャラカ」というのは、「アチャラカ」をもじった言葉ですが、
「アチャラカ」とは、「アチャラカ芝居」のことです。

アチャラカ芝居」というのは、
軽演劇」と謂われる喜劇のことを指し、西洋では「スラップスティック」と謂われるジャンルです。

そんな日本の「アチャラカ」の世界には、エノケン・ロッパと呼ばれた、
双璧の、榎本健一エノケン)と古川緑波古川ロッパ)という、伝説の二人がいました。

そんな日本の喜劇を継いだ者たちとしては、
大宮デン助伴淳三郎花菱アチャコ横山エンタツ柳家金語楼中田ダイマル・ラケット
ミヤコ蝶々堺駿二長門勇藤田まこと白木みのる三木のり平森繁久彌トニー谷
由利徹渥美清フランキー堺小沢昭一藤山寛美大村崑クレージーキャッツ
三波伸介伊東四郎財津一郎ばってん荒川コント55号小松政夫ビートたけし・・・、
といった喜劇人たちが、綺羅星の如くいます。
(思い出すままに列挙しましたが、多分まだ一杯抜けています)


もしかしたら、
この「エノケソ」の出演者たちは、その後塵を拝する人たちかもしれません。

ところで、
エノケン」は榎本健一ですが、このお芝居の主人公は「エノケソ」ですから、お間違えの無いように。




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